郵便投票制度を考える

選挙真っただ中の鎌倉を訪ねた時に、ある方から郵便投票制度についてお尋ねをいただきました。郵便投票制度は、投票所に行くことができない方の投票機会を確保する目的で昭和49年の法改正によって導入されています。

具体的には、投票用紙を自宅に郵送してもらい、候補者名を記入し選管に送り返すという方法です。下肢などの重度障害のため外出できない人に加え、2004年からは、新たに要介護度5の介護認定を受けた人も対象となりました。なぜ、介護認定5の方に限られているのか、介護度4でも外出が困難、投票の意志があるのに残念だというお話を伺い、私も疑問に思い調べてみましたが、介護度5で線引きした明確な理由はないようです。

歩行困難なお年寄りや病気になどで自宅療養中の方たちがこの制度を使うためには、公職選挙法の改正が必要です。総務省によると、公職選挙法制定当時は医師等の証明により郵便投票が可能で、幅広くその活用が期待されていたのですが、病気と偽って郵便投票をするなどの不正が横行し、いったん廃止されたという経緯があるとのこと。ちなみに、2007年の統一地方選挙で郵便投票された横浜市市民は約800人です。そもそも、この制度が知られていないのだと思いますが、対象者の拡大、公正な投票のための対策など検討されるべき課題も山積です。誰もが保障された基本的人権としての参政権。高齢社会にあり、ますます重要な課題です。