「緑新税」今、超過課税を論じるのか

横浜みどりアップ計画(「樹林地を守る」「農地を守る」「緑をつくる」)の推進に向けた新たな税制案「緑新税」の導入についての意見募集が始まりました。「横浜の緑を守る!」と謳った広報よこはまも配布されていますが、皆さんご覧になったでしょうか?(発行部数は4万枚のみ)現在検討されている税制案は、実施期間が2009年度から5年間、市民税均等割超過課税方式で、個人で年1100円を、法人は規模に応じて5500〜33万円を課税し、年間約32億円の税収を見込んでいます。新税の使途は、(1)樹林地や農地の公有地化(2)緑化の推進(3)樹林地等の維持管理(4)ボランティア等の協働の推進につながる「16施策31事業」とされています。しかし、どの程度の緑地を公有化するのか、その優先順位はどうように考えるのかなど、判断の難しい課題も残されています。
中期計画の点検・評価が必要
新税導入の前提となっている横浜みどりアップ計画は、「横浜市中期計画(2006年度〜2010年度)」「横浜市水と緑の基本計画(06年度〜2025年度)」に位置づけられた計画で、緑化推進のための具体的な取り組みや緑の確保目標や実績が示されています。例えば、樹林地、農地、公園、緑化などの緑の市域面積については、96年時点で5,905ha、04年度時点では6,476haを確保したとし、2010年には8,840haを確保するという目標が掲げられています。まずは、この中期計画の達成状況や事業の成果を明らかにする必要があります。

「横浜の緑がピンチ」と言うけれど…

横浜市は、緊急に新税を導入する根拠とし、緑被率や緑の総量が年々減少しているというデータを公表しています。確かに、40年前と比較すれば50%から31%と緑被率は大幅に減少していますが、縮少社会にあって、経済成長は鈍化しています。また、環境意識の高まりとともに、市の緑保全施策も進められてきました。近年の緑被率で比較すれば、2001年は31,2%、2004年は31,0%と調査上は微減に留まっています。さらに、緑被率は調査年度によって調査手法や精度が異なり、数値を比較することが困難であることも明らかになっています。毎年100haの山林・農地が失われているとされているとことも強調されていますが、これは、固定資産税の課税上の地目でカウントしたもので01年〜04年の三年間に57haの緑被面積が減少したとする環境創造局の調査結果との整合性がありません。施策の必要性について、市民の判断を求めるのであれば、客観的な判断材料として正確なデータを提示するべきです。
いずれにしても、米国発の金融危機や世界的な景気悪化に対応し、さまざまな政策減税が検討されている今、超過課税を論じること自体、市民の理解を得られないと考えます。支出のムダを集中的に点検することや将来を見据え、セーフティネットの充実を図るなどやるべきことは他にたくさんあります。

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