ネーミングライツ制度を考える 1

横浜市環境創造局は、施設維持管理コストの軽減を図ると共に、利用者サービスを維持・向上するため、「野毛山動物園」のネーミングライツ(命名権)について、スポンサー企業を募集しています。
私は、資産を有効に活用し財源を確保するために知恵を絞ってこられた職員の努力も理解し、ネーミングライツ制度を全て否定するつもりはありませんが、その施設名称が条例に定められている野毛山動物園への導入については慎重であるべきと考えます。市庁舎のマット、バスのホイール等への「広告」とは異なる性質のもので、横浜市広告掲載要綱及び横浜市広告掲載基準の規定で整理できる問題ではないと考えます。ネーミングライツの第一号「横浜国際総合競技場(日産スタジアム)」については、行政財産に私権の設定を行う行為が自治法で認められておらず他自治体でも様々な議論がある中、『ネーミングライツは未だ十分に確立されていない権利であり法的にも確たる見解は出されていないが、行政財産の上に付着した「商標権に準ずる権利」と位置付け「普通財産」として処分した』としています。(地方財務2006年2月号/環境創造局担当課長著)その後、発行された「財源はみずから稼ぐ!」(横浜市広告事業推進担当著/2006年12月)では、『この競技場は横浜市都市公園条例では、「新横浜公園内の総合競技場」という「施設種別」で扱われており、固有の名称の記載はないため、名称変更に伴う条例改正は必要なかった』と整理し直しています。この論からいけば、ニッパツ三沢球場も条例改正の必要はなしということになります。そして、条例に名称が定められている野毛山動物園のネーミングライツ募集に至っては、「命名権は施設名称の貸借契約のため、所有権などの財産権には及ばず、市会での議決は不要。市の判断で導入を決められる」との見解も報じられました。しかし、それでは行政裁量によりあらゆる施設の名称変更が可能となってしまいます。確かに、広告という無形の財産について、自治法にその概念は見当たりませんが、法律にその定めがない権利だからこそ、自治体の法である条例でルール化していくことが必要です。