介護保険制度は、役所に先駆け、地域できめ細やかな福祉を実践してきたNPOにとっては、事業の安定・拡大に向けて待望の制度でした。ところが、スタートしてみると制度はころころ変わり安定しない、きつい仕事に見合わない介護報酬で日常的なスタッフ不足と現場からは悲鳴が上がっています。全労働者の平均年収が約452万円なのに対し、施設で働く介護福祉士などの平均年収は、男性が約315万円、女性が約281万円。介護職員の離職率は22・6%で全労働者の17・5%を上回っています。(05年調査)介護労働を適正に評価し、賃金、労働条件の見直しをすすめなければ、制度はあってもサービスはなしということにもなりかねません。
厚生労働省は、キャリアアップの道を示すことで介護職離れを食い止めると、ヘルパー2級から介護福祉士、さらに、介護福祉士の上級職「専門介護福祉士」の創設まで打ち上げているますが、資格のハードルをあげることは、人材不足の問題を解決することにはなりません。
だからと言って、管理者不在、名義貸しといった不正が許されるものではなく、情報公開の必要性も否定するものではありません。しかし、全国平均5万4901円という高額な費用に見合った専門性の高い実態調査がなされているのだろうか、あの程度の調査に毎年手数料を支払うことは疑問であるという声も上がっています。
まずは、問題が生じた場合に利用者の救済を行ない責任の所在を明らかにしていく「第三者機関」の機能を再点検し作り直す必要があります。キーパソンであり、最も情報の集中するケアマネジャーの独立性を高めていくことも必要で、その報酬のあり方を見直すべきです。
しかし、いずれにしても、限られた財源の中での議論には限界があります。何度も言いますが、1割負担でこの制度が維持できるのか?これは、避けられない議論です。