分権・自治と法令解釈権

昨日の本会議の議案関連質疑で、後期高齢者医療広域連合を取り上げました。現在、国から示されている後期高齢者医療広域連合は、自治体の意思とは関係なく、法律で自治体に広域連合の設置を義務付けたもので、内容的に裁量の余地もほとんどなく広域連合の本来の趣旨と地方分権の流れに反するものです。そもそも、広域連合が行う事務は自治法上の自治事務にあたり、自治体が主体的に組織すべきものです。
中田市長は、これまで、法に対する国と自治体の関係について、時々のテーマで様々に判断をされてきました。住民基本台帳の閲覧制限の条例化を進めた際には、住基ネットの横浜方式導入時とは一転し、「当たり前の守らなければならない法治国家としての秩序」があると条例制定には後ろ向きでした。ところが、今議会に提案されている首長の多選を制限する条例については、法改正にさきがけ、自治体の持つ法令解釈権を行使されようとしています。
しかし、国と自治体の間の分権議論を超えて、すでに、有権者一人ひとりが1票を投じる権利を持っており、むしろ条例を制定することで、被選挙権が制限されることにもなるわけですから、分権議論におさまらない問題があると考えます。
多選の制限の問題も重要だとは思いますが、自治と分権という視点で言えば、自治事務のあり方を問うことも重要で、そういった問題こそ、今後しっかりと提起していかなければなりません。
後期高齢者医療広域連合
急速な老人医療費の増加に対応するため、今年6月14日「健康保険法等の一部を改正する法律」が可決成立し、順次、高齢者医療の制度改革が行われることとなった。制度改正の柱は、高齢者患者負担の見直しをはじめとする医療費の伸びの抑制、新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合の3つ。新たな高齢者医療制度の運営主体として広域連合の設置が義務づけられた。