「国勢調査」国への責任がそんなに大事?

12月議会報告

神奈川ネットワーク運動では、10/1から3日間、国勢調査ホットラインを実施しましたが、その結果をもとに、「国勢調査」をテーマに本会議一般質問を行いました。 横浜市でも、約8万件にものぼる国勢調査に関する問い合わせがあったそうです。調査への協力が得られないという切実な声と、回収を拒む市民の摩擦が読み取れるわけですが、このような事態は、前回調査に際しても聞かれていました。
実は、昨年、一昨年と、横浜市は、総務省に対して、国勢調査の実施方法についての見直しを求める要望書を提出しています。にも関わらず、その提言は生かされることなく、今回も従来どおりの調査が行われ、推測されていた事故や事件が多発しました。まず、こういった、総務省の対応・体質に問題があると言わざるをえません。
今回の調査の実施にあたって、横浜市では、他都市に先駆け、「全封入」が実施されました。このことにより、指導員の方の作業量は増加していると思われますが、特に、指導員として、午後5時15分以降、時間外の仕事をこなされた職員の方にとっては、本当に大変な作業であり、敬意を表するところです。
個人情報保護のために全封入を導入した、しかし、もしかしたら調査表は白紙・未記入かも知れない。また、留守宅に対しては、家族構成等を近隣に聞き、記入するといった事も行なわれています。前回調査で言えば、約3万世帯がこのようなケースに当ります。
単なる人口調査であれば、住民基本台帳の方が最新データーを網羅している。住民基本台帳と外国人登録を合計すれば充分ではないか、そうすれば、全国で、650億円のお金と約85万の人手が節約できるし調査現場のトラブルも解消するという見方もできます。
現在、国勢調査だけでなく、消費実態調査、家計調査、物価調査、住宅需要実態調査、就業構造基本調査と様々な調査が実施されています。中には、国勢調査とも調査項目が重複しているものもあります。国に対しては、こういった調査について、整理統合の検討の必要性を提起すべきではないでしょうか。これについては、今後、国に対して要望を行なうという答弁がありました。
未来に向けた政策の基礎データーとするのであれば、調査を実施する総務省だけでなく、このデーターをどのように活用されてきたか、各省の説明責任が問われます。費用対効果、調査にかける労力と得られるデーターからの政策化が市民に見えない限り、調査される側の共感は得られません。その点については、国が、さらなる広報をおこなうべきであり、働きかけを行なうという市長の答弁がありました。
すでに、政府は、国勢調査の制度を見直す方針を固めたという報道もありましたが、調査の責任を負うのは、自治体であり、本来、制度見直しについて、現場の意見を聞くことなく進められることは考えられません。
しかし、自治体は、国から多くの縛りを受け、国への責任を果たす事に追われ、市民と悩みを共有する場面は少ないということも否めません。
制度の見直しに当たっては、国は自治体の意見を、そして、自治体は調査に関わった調査員や市民の意見をすいあげるといった作業を行い、ボトムアップの形で進めるべきです。
自治体も、調査員や市民の声を聞きましたよというガス抜きではなく、その声をぜひ、今後の対策に反映させていただきたいです。